私は新卒で出版社に就職していたため、入社1年目は大学の学生課に何度か声をかけられ、OBとして就活生の質問を受ける機会がありました。
そこでよく聞かれたのが、「エディタースクールに通ったり、校正技能検定などの資格をとったほうがいいか」というものでした。就職に有利か不利かといえば、印象は良くなるかもしれません。ただし、あくまで履歴書上の話で書類選考の通過率が変わる程度かと思います。
ちなみに私は、新卒時点で校正知識ゼロでした。
それよりも受ける会社の本をたくさん読んだり、志望動機にリソースを割いたりするほうがずっと有利にはたらくと思います。その点、出版業界が特殊なわけではなく、どの業界でも同じだと思います。事業の核となっているものを調べて志望動機や面接で語れれば、おのずと評価は上がります。
いきなり話が脇道に逸れましたが、ほとんどの方は、本や雑誌を読んでいて、たとえば次のようなことに気づいたことがあるかと思います。
・「てにをは」(助詞)のまちがい
・誤字
・脱字
など
たいていの出版物は読者の手に渡るまで、少なくとも全文をとおし、一度は校正されているはずです。
某出版社から出ているビジネス本で、1ページ目から誤字脱字の祭りになっている本があって驚いたことがありますが、きっと例外です。ついでに商業物として論外です。
仕事なので当然ですが、これまで書籍・雑誌を問わず、数多くの原稿を読む機会がありました。そのなかで、文法・誤字脱字・用語の使い方について、一冊の本ができあがるまで、一つも赤字が入らないものはありませんでした。
蛇足ですが、社会的地位が雲の上を突き抜けるような人が書いている場合、たとえ100人中100人が完全なミスと判断するものでも、確認をとらないで直すと怒られることがあります。場合によっては会社の幹部クラスに呼び出されます(経験あり)。
こうやってブログの文章を書いている私も、書き終えてから最低一度は読み直すのですが、何かしら見つけることが多々あります(笑)
では、タイトルの「編集者に校正スキルは必要?」についてですが、私の考えでは「あったほうがいいけど、なくても大丈夫」です。
厳密にいえば、校正そのものは編集者の役割ではないからです。なぜかというと編集者は著者や作家に良い原稿を書いてもらい、消費者に買ってもらえる本をつくることが仕事だからです。
原稿を読むときは、まちがいを指摘するのではなく、読者が興味をもってくれそうかを判断することのほうがずっと大事です。
というわけで、校正や校閲を専門とする人たちがいるわけです。
いつもありがとうございます。