読まれる文章は、ほんの少し『整っている』

文章や記事を書くとき、文章の「読みやすさ」を意識できていますか?

構成を考えたり、書く内容がしっかり練られていても、「なんか読みづらいな」と思われたら、読者は途中で読むのをやめてしまうかもしれません。

仕事では、編集部内で担当記事を交換しあって体裁のチェックをします。どう整えれば「読みやすい」コンテンツになるのかを大事にしています。

補足すると、ここでいう「読みやすさ」とは、文章の美しさや心地よさのことではありません。

料理でたとえるなら、食べられるのは当然としても、見た目が良ければもっとおいしく感じられますよね(見た目が悪くても味が良ければ、それはそれでサプライズですが)。

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出典:『ONE PIECE』(尾田栄一郎/集英社)より引用

noteに限らず、これまでにこんな経験はありませんか?

  • 「興味がある」または「読んでみたい」記事
    → 一節が長くて疲れたけど、内容が気になって最後まで読んだ。

  • 「タイトルやサムネに引かれて開いてみた」記事
    → 読み始めたけど、なんだか読みづらくて途中でやめた。

前者のように、読者に刺さる記事が書けるなら気にしなくてもいいかもしれません。でも後者のように「内容は悪くないのに読まれない」場合は、見た目のせいで読者の集中が続かない可能性があります。


編集者視点で考える「読みやすさ」のポイント

では、どうすれば読みやすい文章になるのでしょうか?
次の 4 つのポイントを意識してみてください。


① スペースの活用

この見出しの「① スペース」も、実は工夫の一つです。
①と「スペース」のあいだに全角アキを入れています。

①スペース → ① スペース

少しの違いですが、箇条書きなどで並べられると意外に読みにくさを感じるものです。

また、異なる文字種が続くときには半角スペースを入れると見やすくなります。


数字 + 単位

50cm → 50 cm

アルファベット + 日本語
Apple社 → Apple 社

感嘆符 or 疑問符 + 次の文
信じない!!この眼で確かめるまで!!
→ 信じない!! この眼で確かめるまで!!

こうしたスペースの意識の積み重ねが読みやすさにつながります。


② 改行の活用

次のような文章だと、なんか疲れませんか?

昨日はとても疲れていたけど、朝早く起きて散歩に出かけた。天気はよく、風も気持ちよかった。川沿いの道を歩いていると、犬を連れた人やランニングをしている人がたくさんいた。途中で立ち寄ったカフェでは、新しく始まったモーニングセットを試してみた。トーストと卵とコーヒーのセットで、なかなか美味しかった。でも、少し量が少ないように感じた。そのあと、本屋に寄って気になっていた小説を購入し、帰宅してから読書を楽しんだ。とても有意義な一日だったと思う。

これを、改行と行アキで整えるとどうなるでしょうか。

昨日はとても疲れていたけど、朝早く起きて散歩に出かけた。
天気はよく、風も気持ちよかった。

川沿いの道を歩いていると、犬を連れた人やランニングをしている人がたくさんいた。

途中で立ち寄ったカフェでは、新しく始まったモーニングセットを試してみた。トーストと卵とコーヒーのセットで、なかなか美味しかった。
でも、少し量が少ないように感じた。

そのあと、本屋に寄って気になっていた小説を購入し、帰宅してから読書を楽しんだ。

とても有意義な一日だったと思う。

文章のテンポがよくなり、視認性がぐっと上がります

ポイントは「2 文節 + 1 行アキ」のリズム。
ただし、改行しすぎるとポエムっぽくなってしまうので注意しましょう。


③ 漢字とひらがなの統一

同じ記事の中では、表記を統一することが大切です。
たとえば次のようなものです。

よくある表記ゆれ
例えば|たとえば
私|わたし
表す|あらわす

迷ったら、「ひらがな」に寄せるのがおすすめです。

次のように、漢字にすると意味が異なる場合でも、ひらがなであれば用法上の誤りになりにくいです。

変える|替える|代える|換える
→ すべて「かえる」にすれば OK

ちなみに編集用語で、

・漢字をひらがなにすることを「ひらく
・ひらがなを漢字にすることを「とじる

といいます。


④ 使い分けの工夫

少し細かいですが、統一されていると「丁寧な文章だな」と思われやすい要素です。

名詞と動詞の送りがな
組合せ(名詞)
組み合わせる(動詞)

動詞と助詞の使い分け
・サンジが包丁を手に持つ。(物理的な動作)
・ルフィはゴムの特性をもつ。(内包・所有)

意味の違いで表記を使い分ける
・質が良い。(品質の評価)
・やりたいならやればよい。(容認・許可)


まとめ

「内容はいいはずなのに、なぜか読まれない……」
それは、もしかしたら文章の「読みづらさ」が原因かもしれません。

パッと見た瞬間に「なんだか読みにくそう」と感じれば、どんなに魅力的な内容でも、離脱されてしまう可能性があります。

逆に言えば、「ちょっとした見た目の工夫」や「細かい表記の配慮」だけで、読みやすさは格段に上がります。

今回紹介したポイントは、どれもすぐに取り入れられるものばかりです。

適切なスペースや改行
文の見通しを良くし、読者の“目の疲れ”を軽減する効果があります。

表記の統一
同じ単語や語句の書き方にブレがないことで、読み手の混乱を避け、文章全体に信頼感が生まれます。

読みやすい分量の調整
一文の長さ、段落のボリュームに気を配るだけで、読みやすさやテンポが向上します。

意味に応じた使い分け
誤解を生まず、意図が伝わりやすい表現を選ぶことで、文章が丁寧で洗練された印象になります。

こうした細かな工夫は、ちょっと地味ですが、意識し始めれば自然とできるようになります。一方で、どこかで意識しなければそのままになりがちです。

ぜひ、読みやすさの工夫にも目を向けていただけたらと思います。

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